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歯周病と認知症の最新研究について

2020年11月24日
こんにちは、歯科衛生士の石垣です。

日に日に寒さが厳しくなりますね。皆様お変わりありませんか?
新型コロナウイルスの再流行が懸念されていますが、当院もスタッフ一同、より体調管理に力を入れて診療をしております。

今日は歯周病と認知症の最新研究についてお話します。

近年、臨床研究によって歯周病の罹患と認知機能低下の関連が報告され、歯周病細菌である「ジンジバリス菌(Pg菌)」がアルツハイマー型認知症患者の脳内に検出されたことから、歯周病によるアルツハイマー型認知症への関与が注目を集めてきました。
認知症の約7割を占めるアルツハイマー病は、「アミロイドベータ(Aβ)」などの異常なたんぱく質が長年、少しずつ脳内で産生・蓄積し、発症や症状の進行につながるとされています。
2019年、マウス実験において歯周病細菌がAβの産生を誘発することが明らかになりましたが、その蓄積の仕組みは詳しく分かっていませんでした。

九大や北京理工大(中国)などの研究チームは、マウスのお腹の内部に3週間、歯周病細菌を直接投与して感染させ、正常なマウスと比較しました。その結果、歯周病細菌に感染したマウスの脳血管では、Aβを脳内に運ぶ「受容体」と呼ばれるたんぱく質の数が約2倍、脳細胞へのAβの蓄積量も10倍に増えていたことがわかりました。

さらに、暗い部屋に入れば電気ショックを受けることを学ばせた記憶実験では、正常なマウスは5分間明るい部屋にとどまり続けることができましたが、感染したマウスは約3分で暗い部屋に入ってしまい、記憶力低下が裏付けられました。 

一方、Aβを運ぶ受容体の働きを阻害する薬剤を使えば、歯周病細菌に感染した細胞内を通るAβの量を4割減らせることも確認できたそうです。

研究チームは「歯周病菌感染は、歯茎などの炎症した組織でAβ(脳内老人斑成分)の産生を誘導すると同時に、その成分の脳内への侵入を促すことに大変驚きました。アルツハイマー型認知症の予防に口腔ケアはとても重要です。」と述べています。

ぜひ皆様も、日頃のブラッシングと定期検診で口腔の健康から歯周病と認知症を予防していきましょう!

参考文献
1)https://www.kyushu-u.ac.jp/ja/researches/view/
2)https://www.asahi.com/amp/articles/ASNB544G9NB5TIPE003.html

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